毎日新聞連載小説
津島佑子 作
井筒啓之 画
2009年6月3日
「父親の都合で、ニューヨークの中学、高校に通ったら、
日本の大学に行く気がしなくなった、日本なんていやだ、
とはじめに言いだし、ニューヨークの大学への進学を
勝手に決めたのは、清太郎だった。
日本の高校になじめずにいた奈美も、兄の清太郎を
救命ブイのように見なして、その体にしがみつき、
共にニューヨークに舞い戻ってしまった。」
兄の清太郎はエジプト系の、年上の女性カリマと同居し
その父親が経営している大きな不動産会社で、
カリマと別の部署ながら、いっしょに働いている。
カリマの一族は、かなり金持ちのようだった。
この日の文章はニューヨークにすむ清太郎と奈美の
話が中心なのでやはりニューヨークを描くべきだろう。