毎日新聞連載小説
津島佑子 作
井筒啓之 画
2009年6月29日
「ぼくたちはこの大混乱の時期からたった数年後に
入学しているのに、平和そのもので過ごしていた。
それが不思議です。戦争なんて大昔の出来事だと
思っていた。
二十二年の十月になってようやく、都内の各学校に
窓ガラスが支給された、などという新聞の記事もあり、
それにも仰天させられました。
だったら、それまではガラスのない窓で、吹きさらしの
教室だったのか、と。」
僕もふと自分の生まれた年(昭和30年)を考えると
たった10年前まで戦争をしていたのかと不思議な気持ちになる。
10年なんてあっという間なのに。
この小説の作者、津島さんは確か僕より8才年上で、
ちょっと前まで戦争の混乱が続いていたという驚きは
強いのだろうと思う。