利賀村が年に一度、夏の数日間だけ世界の中心となる。というのも、鈴木忠志氏率いる劇団「SCOT」が一九七六年に東京からここ利賀村に拠点を移し、合掌造りの民家を改造した劇場を「利賀山房」と名づけて活動されており(中略)湖面に浮かんだような壮大な「野外劇場」を中心に、毎年世界各国からの観客を集めて、そこに別世界を作り出しておられるのだ。(本文より)
「おわら風の盆」はひと味も二味も違う。大袈裟にいえば、夏の夜、少し涼もうとふらりと出た散歩の最中、ふと遠くから微かな唄ばやしが聞こえてくる感じに近い。(中略)その様子はまさに夏の夜の風のようで、思わず見とれてその行列を見送れば、自分が渓流にでも立っていたような心地になってしまう。(本文より)
その祭りはとても静かに近づいてくる。
富山市八尾町の「おわら風の盆」を一度でも見たことがある方なら、前述の一文に共感してもらえるのではないだろうか。(本文から)