講談社
小説現代2003年11月号
杉本章子 文
井筒啓之 画
時代物の小説にさし絵を描くのはあまり得意じゃなかった。
髪型から着物に関して何から何までわからないことが多すぎる。
2003年というと朝日新聞で柳美里さんの「8月の果て」にさし絵を描いていた真っ最中だ。「8月の果て」は僕が自分のスタイルをこわすというか、スタイルを作らない、文章から感じたものを表現するということをやっていた。
たぶん歌吉シリーズはそんな心境の中で「江戸時代ってこんな感じ!」と開き直って描けた作品だ。
江戸好きの人達にはお叱りを受けるかもしれないけれど、あまりディティールにとらわれずにのびのびと描けたと思う。
ただやはりきちんとした知識と教養を身につけておかないとこういう時代物は行き詰まるだろうから、勉強しないと。